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走りが絶不調
Perth以降、どうも走りの調子が良くない。
バイクではなく、ライダーの方だ。
スタートしてちょうど1か月。無我夢中で走ってきたツケが、ここにきて溜まっているのかもしれない。
体力も気力も消耗しているのは分かっているし、寄る年波も自覚している。
休養すれば回復する。だから「体調が悪い」という感じではない。
朝起きれば、「今日も頑張るぞ」という気力もある。
ただ、長い間じわじわと神経が削られ続けた、せいのか
休養を取っても表層的には回復するが、深層の部分が回復しない感じなのだ。
うまく言えないが、「気が弱くなってる」――そんな感じだ。
バイクに跨って走り出すと発症する。
とにかく、スピード、カーブ、未舗装、対向車、後続車……。
今まで気にも留めなかったものが、怖い。
だから、おっかなビックリ走っている。
タンデムで後ろに乗った女性が、あれ見てキャー、これしてキャー、と騒ぐ気持ちがよく分かる。
そういうわけで、ワインディングに入ると走りが絶不調になる。
バイクを寝かせて曲がれない。
周りのペースに合わせてコーナーに侵入するのだが、怖くてバイクがオッ立ったままなので、セルフステアが効かない。
いきおい、浮いた感じでコーナーを抜けるから、えらく遅い。
当然、後ろから4輪が迫ってきて突つかれる。
(彼らのペースが速すぎる、というのもあるが。)
これがキャラバンを牽引している4輪だったりすると、精神的ダメージは絶大だ。
最初は、直線ばかり走って曲がり方を忘れたのだとか、交換したオフロードタイヤのせいだとか、荷物が重いせいだとか、いろいろ考えた。
でも、どうもそういう話ではない。




ワイナリーや牧場の間を抜ける間道を、連続で3時間近く走り続けた。
どこにも休める場所がない。ガソリンスタンドもない。
疲れが溜まっているうえに、あまりに何もない道が続く。
牧場の入口でマップを確認しようと、サイドスタンドは出さずに、バイクに跨ったまま地図を見ていた。
5分くらいした時、
突然、右足がズルッ。
なす術もなく、ゴロン。
タンクバッグの中身を盛大にぶちまけた。
なぜか、ものすごく動揺して慌てて中身を拾い集め、バイクを起こすために荷物を外す。
この時、重大なミスを2つ犯した。
- バックシートにリアバッグを載せただけで、4点あるバックルを1つも留めていない。
- いつも荷物とトップケースの間に挟んでいるテントのフレームセットを拾い忘れた。
普段なら、リアバッグのバックルは「これでもか」というほど確認し、走り始めは落とし物が無いか、ミラーで後ろをよくよく確認するのに、この時は……何もしなかった。

20km近く走って、やっとガソリンスタンドを見つけた。
給油した時、リアバッグ右後方のバックルが割れて外れているのに気づく。
予備のバックルがある。
夜に替えようと思いながら、外れたバックルだけ留め直し再出発。
……ところが、走り出して不安になり、手探りでリアバッグ手前のバックルを触ってみる。
左右とも、留まっている気配がない。
この時はじめて、コケた時にバックルを全く留めていなかったことに気づいた。
リアバッグが留まって留まっていない‼
さっき留め直した1個だけで走っている。
重さで一応安定はしているが、何かあれば荷崩れは必至。
風も強い。
止める場所を探しながら、狭いワインディングをソロソロ走っていると、先ほど追い抜いたロードトレインが迫ってきた。
バックルが留まっていないと分かった今、怖くてスピードを上げられない。
やっとの思いで路肩を見つけ停車し、ロードトレインをやり過した。
バックルを留め直し、再び走り出す。
さらに70km近く走って疲労困憊。
道脇で給水し、リフレッシュ体操をしていた時――
シートバッグに括り付けてあるはずのテントのフレームセットが……ない。
ことに気付いた。
目の前が真っ暗になる。
テントなしの旅は考えられない。
宿が見つからない時の非常用としても、絶対に必要だ。
我ながら、何をやっているんだろう。
注意力が散漫になっている。
猛省した。
今の体力では、50km先の宿泊地ウォルポール(Walpole)まで行くのが限界だ。
明日の朝、130km戻ってフレームセットを探すことにした。
オーストラリア一周バイクツーリング DAY35。
Walpole泊 本日の走行338km
