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2023年11月13日
ブルームを出発。
相変わらず日差しがきつい、もちろん暑い。
かれこれ1時間近く、ひたすら水平線を見つめて一本道を飛ばしている。
ミラーには何も映らず、対向車にも合わない。
いつもの360度、ボッチ旅だ。
何もない草原が終わり、そろそろ給水しないと——と思ったところで、左に抜けるエマージェンシエリアが現れた。
珍しく入口が、上り坂のダートになっている。
赤土が妙に真っ赤で、違和感があったが、勢いのまま進入した瞬間——ハンドルとリアを取られた。
……え??
視界が真っ赤になる。
フロントはあらぬ方向を向き、リアは暴れて蛇行。
20メートルほど、必死でこらえたが——力尽きて、ゴロン。
赤い砂煙が、舞上がる。
パウダー状の赤砂だ。
ふかふかで、深さは20センチくらいか。
新雪のスキー場みたいに真っ平で、見た目ではまったく分からなかった。
しばし、呆然。
「……やっちまった。」
気持ちを取り戻そうと起き上がると、ジーパンが赤く染まっていて、さらに落ち込む。
汗を拭き拭き、リアの荷物を降ろしてバイクを起こそうとする——が、ピクリともしない。
パニアケース、トップケース、タンクバッグ……
重いものを全部外して、もう一度。
それでも起きない。
なんで? 今まで何度も起こしてきたのに。
最後に起こしたのは、たしか2年前の北海道のダートだった。
涙が出てきた。
……パウダー状の赤砂が目に入って、目が痛いだけです。誤解しないで。
いったん休んで、何度か試みるがダメ。
すでに、コケてから40分以上経っている。
この間、側を通った車は一台もない。
まずいぞ……どうする。
頭の中が白くなりかけた、とき——後続車の音が聞こえた。
とっさに、両手を上げて大きく振る。
「あぁ、行っちゃった……」と思ったら、Uターンして戻ってきてくれた。
救世主は、John Bartyさん。
John:「このタイヤじゃ無理だよ」
私:「ええ。この先のパース(2,000km先だけど)でブロックタイヤに履き替える予定です。」
John:「ともかく、道脇までバイクを出そう」
実は、Johnさんは、パースから仕事で来ていて、彼もバイク乗り。
KTMのオフ車を4台持っている(写真を見せてくれた)。
バイクを起こして、道脇まで出すにも一苦労。
Uターンは無理なので、約100メートル先の合流点までバイクを走らせなければならない。
が、タイヤが全然グリップしない。
マフラーからは、もうもうと白煙が吹き上がる。
John:「オイルが被っただけだから、大丈夫だ。気にするな。どんどん出して」
奮闘するが・・・
汗まみれで、私がヘロヘロになっているのに気付いて
「だいぶ疲れてるみたいだな。代わろう」と
最後は彼が引き取ってくれた。
道脇に戻したバイクから30メートルほど離れた所に、外した荷物やパニアケースが散らばっていた。
Johnさんは、それを運ぶのも手伝ってくれた。
一段落すると、車のクーラーボックスから、冷えた缶コーラを差し出してくれる。
冷えた缶コーラは、この上なくありがたく、天国の飲み物だ。
地獄にJohnさん、天国に缶コーラだ。


「タイヤをパースで履き替えて、ウードナッタ・トラック(Oodnadatta Track)に入る積りなんですが、こんな感じですか?」と聞いてみたら、「そうだね、どちらかと言うとグレート・セントラル・ロードの方がこんな感じかな」と教えてくれた。
「GSは、いいバイクなんだけどオフには重すぎだよね。ハイウェイの快適さはグレートだけど」と言っていた。
別れ際に握手をして、名刺をくれた。
「何かあったら連絡しろ」
最後に「水はあるのか?」と冷えた1.5リットルのペットボトルを差し出してくれたが、さすがに申し訳なく「大丈夫。5リッター持っている」と辞退して別れた。
幸運だった。
Johnさん、ありがとう。
オーストラリア一周バイクツーリング DAY21(前半)。
次回、DAY21(後半)につづく
