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……なんか、どうでもいいや。の気分
2023年11月16日
グレート・ノーザン・ハイウェイを35km南下し、ジュナ・ダウンズ(Juna Downs)で右折。
カレヒーニ・ドライブ(Karijini Dr)へ入った。
Tom Priceへ向かうマイナーロードだ。
交通量も少なく、安心して道脇に停めて写真を撮っていた。
ふとバックミラーを見ると、小さくロードトレインが映っている。
「こんな所にも来るのか」と、慌ててカメラを仕舞って急発進した。
ミラーを見ると、ロードトレインは数百メートル後方で車線変更をしかけたところだった。
全長50mは軽く超える。
相当手前から進路を変え始めないと曲がれないのだろう。
申し訳ない…
ロードトレインは、相変わらず爆走している。
この道幅で、道脇に停車中に横をすり抜けられたら相当怖い。
おそらく減速しても70〜80kmくらいは出してくるはずだ。

カリジニ国立公園は、ほとんど下調べをしていない。
せっかくだから見どころを一つでも見れればいい、くらいのノリだ。
だから、見どころポイントも所在もよく分かっていない。
昨晩ググってみると「ウィーノ渓谷」というのが出てきた。
とりあえずそこに行ってみることにする。
それらしき道を見つけて向かったが、途中で道路が閉鎖されていた。
「Road Closed」の看板。ウィーノ渓谷も、他のポイントもクローズっぽい。
めちゃくちゃ暑い。
心が折れた。
他を探すのはやめた。
宿泊予定のTom Priceまで来たが、鉱山の町で美しいわけでもない。
泊まる気が失せた。
……なんか、どうでもいいや。そんな気分だった。
次に宿泊できるのは、ナヌータラ(Nanutara)のロードハウス。
ここから、300kmちょっと。
ナヌータラまで行くと今日の走行距離は、トータルで500kmを超えることになる。(結局、522km走った)
今から向かうと着くのは、夕方遅くになるだろう。
今まで遅い時間の走行は避けてきたので、夕闇で走ったことはない。
それでも、ここに泊まるよりマシだと思って出発した。
夢の中を走っているのか…。

136号線をひたすら西へ向かう。
途中から、夕陽を追いかける走りになった。
周りの風景は、赤い土と黄色い草。
走り続けるうちに、赤い太陽が頭上から前方へ回り込み、じわじわと目の前に迫っている。
遠くの山が夕陽に染まり、息をのむほど綺麗だ。
軽いカーブ。
小さな丘越え。
気持ちのいいカーブとアップダウン。
うっとりする時間が続いた。
眩しいのでヘルメットのサンバイザーを降ろす。
偏光が効いて、世界がいよいよ美しくなった。
これは夢の中を走っているのか…。
現実なのに、どこか現実じゃない。そんな不思議な感覚に包まれた。
「夢見心地」とはこう言うことか…。
写真に収めたいと思った。
…が、こころの片隅に危険が忍び寄ってくる気配がする。
疲れている。余計なことはするな。今の走りに集中しろ。
そう自分に言い聞かせた。
その一方で、体と頭が軽く痺れ始めているのに、まだいける、大丈夫だと感じる自分もいる。
夢の中のような走りが心地よく、この時間がずっと続けばいい、と願った。
赤い夕陽が薄くなり、サンバイザーを上げる。
道がストレートになり、赤い土と黄色い草のコントラストが、赤土だけの世界に変わると
――ふっと正気に戻った。
結局、バイクを止めて写真を撮った。
やはり撮れたのは、なんの変哲もない一枚だった。
今でもあの時の情景をハッキリ覚えている。
たぶん、トランス状態で走っていたのだと思う。

夕陽の中、Nanutara Roadhouse着。
キャビンは満室でテント泊となった。

オーストラリア一周バイクツーリング DAY24。
Nanutara roadhouse泊 本日の走行522km
